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訂正審判と訂正請求


訂正審判とは?(126条)

訂正審判とは、特許権の設定後に、特許について一部に瑕疵がある場合に、その瑕疵のあることを理由に全部について無効審判を請求されて特許が無効にされる恐れがあるので、こうした攻撃に対して備える意味において、瑕疵のある部分を自発的に事前に取り除いておこうとするための審判です。また、そのほかにも明瞭でない記載があると、とにかく侵害事件などをおこしやすいので、記載を明瞭にして争いを事前に防ぐための審判です。

訂正審判は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面について訂正をすることができます。訂正審判は、特許権が設定されてから特許権の消滅後においても請求することができます。ただし、

①特許無効審判が特許庁に継続した時から、その審決が確定するまでの間は、請求することができません。
②特許が特許無効審判により無効にされた後は、請求することができません。

また、訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限られます。

①特許請求の範囲の減縮
②誤記又は誤訳の訂正
③明瞭でない記載の釈明
④他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること

上記の①または②を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければなりません。独立特許の要件とは、29条、29条の2、32条(特許を受けることができない発明)、36条4項1号、36条6項1号、2号、3号、39条1項、2項、3項、4項です。


訂正請求とは?(134条の2)

訂正請求とは、特許無効審判の係属中に訂正審判を独立して請求することを禁止し、特許無効審判が請求されている場合には、その審判手続き中に訂正請求するという形で訂正審判と同内容の訂正を認めることにより、訂正の可否についても特許無効審判の審理とあわせて審理することで審理遅延を回避することを目的としているものです。特許無効審判が請求された場合に、被請求人は、

①無効審判の請求書の副本送達に伴う答弁書提出期間内
②請求書の要旨変更補正を認める場合の手続き補正に対する答弁書提出期間内
③有効審決に対する取消判決が確定した場合の、被請求人の申し立てによる指定期間内
④職権審理に伴う意見書提出期間内
⑤審決予告を行う場合の指定期間内

に限り、訂正の請求をすることができます。

また、訂正請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正請求があるときは、当該先の請求は取り下げられたものとみなされます。なぜなら、

①両訂正の間に矛盾がある場合には、訂正請求の趣旨の解釈が問題となるため、
②特許権者の意思を最もよく反映しているのは後の訂正請求であるため、
③手続きの煩雑さを回避するためです。


わかりやすい訂正請求と訂正審判の一問一答


Q1. 訂正審判は、特許が無効になった後に請求することができないのはなぜですか?

Q2. 訂正をする際に、特許権者は専用実施権者等の承諾を得る必要がありますか?




Q1. 訂正審判は、特許が無効になった後に請求することができないのはなぜですか?

特許が無効になった後において訂正審判を認めることは、確定した審決についての再審理由になってくることにもなり、制度をいたずらに複雑にしてしまうことになるからです。


Q2. 訂正をする際に、特許権者は専用実施権者等の承諾を得る必要がありますか?

訂正審判または訂正請求をする際には、特許権者は、専用実施権者、質権者、職務発明による通常実施権者、特許権に係る通常実施権者、専用実施権に係る通常実施権者があるときには、これらの者の承諾を得なければ訂正をすることができません。なぜなら、特許権者が誤解に基づいて訂正をする可能性もあり、また瑕疵の部分だけを訂正すればよいものの、その範囲を超えて訂正することも考えられ、その場合、これらの者が不測の損害を蒙る可能性もあるからです。